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共鳴 

こういうのだけは、本当に…嫌だ。










「…言ったんだって?」

柚月の部屋に行くと、目を真っ赤に腫らせながらお気に入りのクッションを抱き締めながら俺の質問に頷く。
「言った」という言葉だけで、分かるのは双子だからとかじゃなくて…そういう話を数時間前にしていたからだ。

柚月には一年からずっと好きな奴が居る。
それは、俺の恋人である琥冬の兄であり、この学校の保険医。
ずっと「好きだ」の「格好良い」だの言っていた。
最初は単なる年上の憧れだと思っていたけど、どんどん本気で恋をして行った。

毎日のように保健室に行っては、俺のとこに来て嬉しそうに話す柚月。
それを見て、あぁ、本当に好きなんだな、と思った。

もし、これで柚月が先生と上手くいったら兄弟でダブルデートだな。とか、笑って話していた…

けど、二年に上がり少し経った頃。
先生に恋人が出来た。俺たちの後輩にあたる人物と。




「…で、諦め付きそうなのか…?」
「全然…寧ろ、もっと好きになったかも…」

ぎゅっとクッションを抱き締める柚月の隣に行き柚月の頭を子供をあやすように撫でる。
どれだけコイツが先生を好きだったか、一番知ってるから、どれだけ傷付いたか分かる。



「だって…先生のこと好きだよ…いくら傷付いても、やっぱり好きだよっ…」

つらそうな表情で涙を流す柚月を見ていると、俺の頬にも涙を伝った。


「…っひく…なんで、柚流まで泣いてんのさ…」
「…煩ぇよ…っ…俺にだってわかんねぇよ…」

でも、すごく切なくて辛くて胸が締め付けられる感覚。
いつだったか、俺もこの感覚になったことがある。
けれど、今は自分のことでこんな感覚に陥っているわけではない…


「…アンタはラブラブじゃんかよっ…」
「お前のせいだろ…っ…」
「私のせいにすんな…」

二人でぼろぼろと涙を零している姿は、傍から見てどう映るのだろうか。
柚月は失恋で泣いてるにせよ、俺は別に何か悲しいことも辛いことも無いのに…


ただ、柚月の今の感情が凄く俺の中に流れてくる。…そんな感じだ。
貰い泣きとかそういう安易なものじゃない。
柚月の気持ちが凄く伝わってきて、俺まで失恋してしまった気分だ。


でも、こういうことは、初めてじゃない。
何度か味わったことがある。
それは、俺だけではなくて柚月もあったらしい…

俺たちが別々の場所に居たのに、柚月が可也の勢いで凹んでいた時、俺はその時楽しんで居たはずなのに一気にテンションが下がり凹んでいたこともあったし…
俺が風邪引いて熱で浮かされていると、学校に居た柚月も熱を出し苦しがっていたことがあった。


これが、何を表しているか分からないけど…
もしかしたら、これが双子なのかも知れない。
遠くに離れていても互いの強い思いに共鳴する。

それが、強ければ強いほどに…
だから、こういう辛くて悲しい気持ちになるようなことは、嫌なんだ。

柚月には悪いけど…こんな苦しい思い、感じたくない…
まるで、琥冬に振られてしまっている気分で…



「…頼むから、落ち着け…っ…」
「…っ、…」

ゆっくり深呼吸するように促せば、柚月は落ち着きを取り戻し涙を拭った。


「もう、先生と顔あわせらんない…合わせたら色々とせがみそうだ…」
「せがむって…」
「キスして、とか…抱き締めて、とか…うわぁ~!もう最悪!楓裏切ってるよ、私…!」

顔色を悪くし頭を抱え込む柚月に苦笑を零す。
大分、先生のことは引き摺るだろうけど…
まぁ、いつかきっと想いあえる奴に会えるよ。…きっと、な。








御題:共鳴(SCHALK.様の「ツインズ9」より)

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