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二人だけの秘密 (矢野双子)






「うっわ…人、多いなぁ…」
「そりゃぁ、まぁ?初詣ですから?」

正月・元旦。柚月と二人で初詣にやって来た。
しかも、ちょっと家からは遠めの。
出来れば学校の奴らには会いたくなかったから、って理由で。
俺たちが好き合ってる事は、二人だけの秘密だから…
もし、友達に会えばその場で恋人から双子の兄弟と変わってしまう。
折角二人きりで来たのに、そればかりはいやだから。



「まぁ、良いか。これもこれで正月ならではってことで。」
「やっ、それ行く前から分かってたことだろうが。」

うんうん、と納得する柚月に小突きつっこむ。



「取り敢えず、…繋いどく?」

肩竦めながら柚月に手を差し出す。
俺の手と顔を交互に見ながら少し考えている様子。
多分、恥ずかしいんだと思う。
自分からやる分には大丈夫なんだけど、相手からされると恥ずかしくなるらしい。
だから、柚月は押しに弱いのだ。
強気に行くことは出来るけど、逆に強気で行かれると弱い。
それが楽しくて、柚月に言われる前に手を差し出した。
もし俺が言わなかったら普通に手繋いでると思うから。



「恥ずかしい…?」

くすっ、と楽しげに笑うと、むっと悔しそうに顔を歪め手から顔を背けた。
確実に恥ずかしがっている。
そんな柚月を見て可愛いなぁ、と柚月には見られないように微笑む。
これ見られたら更に怒るだろうからな。



「ほら、はぐれたら大変だろ。」

くすくす笑いながら柚月の手を取り強引に手を繋ぐ。

「はぐれても柚流デカいから直ぐ見つかるもん。」

俺から顔を背けたまま怒っている口調で言うが、手を離す素振りは一切ない。
そこが、また可愛いと思う。
こっちからは、柚月の顔がほんのり桃色になっているのが分かるから余計。
そのことに、柚月は気付いていないんだろうけど…





そして、鐘を付いたりして願ったり、くじを引いたりと一通り正月の気分を味わってから午後のうちに家に帰った。



「あぁ~疲れた…人込み疲れた。」
「あ~あ…折角の可愛い格好が。」

帰ってきた途端、めかし込んでいた服を着崩し、ソファに寝転がる柚月。
服装なんて殆ど気にしない柚月だから、なんも気にも留めていない。



「おせち食べたーい。柚流ごはんー。腹減ったぁ~」
「はいはい」

ぱたぱたと足をばたつかせる柚月に苦笑交じりに答える。
今は両親も二人で初詣に行っているから、家でも二人きり。
そして、俺と柚月の二人になれば料理を作るのは俺。
何せ柚月はありえないくらいの料理下手。
お世辞でさえ美味いとは絶対にいえない。
そんなことは柚月も百も承知だから、料理をしようとしない。



「おせちはきっと夜母さんが出すから…何食べたい?」
「柚流食べたいー」
「……手繋ぐだけで顔赤くしたやつが何を言うか。」
「顔赤くなんかしてないし…!」

ぼそっと俺が呟くと即座に反応し上半身を起こしてバッと俺のほうに顔を向けた。
ってか、今の柚月の顔もちょっぴり赤い。


「ってか、そんなこと言うなら私は友達ンとこ行く」

むっ、としながら言う柚月の隣に座りぎゅっときつく抱き締める。

「それは、マジで勘弁して…」

こいつの言う友達の中には当たり前のように男が居て…
その男の中には柚月のことを友達以上に思う奴も居るわけで…
そんな奴がいるところになんて絶対に行かせたくない。
柚月にそんな気がなくても。



「…キスしてくれたら許す。」
「はいはい」

数センチも満たない距離まで顔を近づけ言う柚月に苦笑を零しながら、柚月の腰を引き寄せ頬に手を添える。
でも、直ぐにキスはしない。
頬に添えた手で柚月を確かめるように顔中を撫で回す。

愛おしくて愛おしくてたまらない…
ずっと柚月の顔を見つめていたくて…
キスをするのさえ勿体無いと思ってしまうくらいに。

そして、ゆっくりと顔を近づければ口付けを交わす。
すると玄関の開く音がして、思わず俺たちは唇を離し同時に身体も離した。



「ゆんちゃん~ゆんくん~先に帰ってたんだねぇ~初詣どうだったぁ?」

父親の腕にぎゅっと抱きつきながら着物姿の母さんがきゃぴきゃぴと嬉しそうに尋ねるが、俺と柚月は「疲れた」と一言返す。
現れたラブラブの両親の姿に二人とも深い溜息を零して。
あの人らは本当に何歳ですか?と真面目に聞きたい。
なんで、家族で歩いててダブルデートと間違われるのか…
どうしたら兄弟に見えるのか…
まぁ…それほど、俺らの両親は童顔というよりは若さ溢れているのだろうけど。



「さぁて、新年早々両親のイチャつきは見たくないから上いこう~」
「あ、俺も~」
「もう!最近ゆんちゃんもゆんくんも付き合い悪いぃ~」
「まぁまぁ、二人ももう高校生なんだから…くすくす」

いちゃこらする両親をリビングに置き、二人で来たのは俺の部屋。



「…うちの両親って私らのことバラしても応援してくれそうだよね。」
「言えてる。」

寧ろ、逆に応援してくれるような両親だ。
理解があって嬉しいとは思うが、親としてどうなんだろうか?と思う。
だから、素直に喜んで良いのかいけないのか分からない。



「……柚月…キス、しよう…?」

柚月を抱き上げながらベッドに座りそう言うと、柚月は俯き加減になりながら俺の服をぎゅっと掴み小さく頷いた。
その仕草が本当に可愛いと思えて、小さく笑いを零し…

長いような…でも、もっとしていたいような…

そんな口付けを交わした。





きっと、あの両親にさえ俺たちのことは言わない。
だって、こればかりは俺たち二人の秘密にしておきたいから。

誰も知らない柚月を俺が知っていて…
そして、柚月にしか見せない俺が居て…

この空間だけは誰にも邪魔させない。

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