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愛してるより強い気持ち

毎日、毎時間、いっつも来る保健室。
理由は至って単純で、…大好きな人が居るから。

だって、好きな人の傍には居たいだろ?
1分でも1秒でも傍に居て、触れていたいだろ?

他の人は違うかも知れないけど、俺はそうなの。
ずっとずっと傍にいて抱き締めてて欲しい。


「創ぇ~暇ぁ~」
保健室にある長椅子に座り足をブラブラさせながら、何か知らないけど…否、仕事のだとは思うけど資料と睨めっこする創の横顔を見ながらぶーたれる。

…ってか、格好良い。うん、すっげぇ格好良い。あぁ、マジで格好良い。
と、創の横顔を惚れ惚れと見ていたら創の視線が資料から俺へとうつった。

…あ、なんか次に出てくる言葉分かった。
「なら、授業出ろ。」
ビンゴ。
さっすが、俺!創の言う事当てた!

「それなら、大丈夫!晃ちゃんセンセーに創に会うって言ってるから」
ニッと笑いながらVサインを創に差し出すと、「大丈夫じゃねぇだろ…」と呆れたように溜息を吐いた。

晃ちゃんセンセーは何せ創の弟の恋人だもんなー。
とても話の分かるセンセーだな!うんっ!

それに、創も結局は居させてくれるし。
そう思うと自然と表情が嬉しくなる。

すると、保健室の扉が叩かれ俺と創は反射的に入り口を見る。
入ってきたのは団体連れのお客さん。…あ、3年の先輩の皆さん達な?
んで、俺のことは視界に入っていないのか創を取り囲む、センパイ方々。


─……………なんか…つか、すっげぇ嫌だ…この光景…


まぁ、人気あるもんなぁ…創。
口悪くてホストっぽいけど…どう足掻いても教師には見えないけど…
すっごい面倒見良いし、実はすっごい優しいし…
その上、格好良いから本当人気ある。
クラスの友達とかマジで好きとか言ってる奴居るし。
そう言うの聞いて、ムカツクこともある。だって、創俺のだし。
でも、逆に優越感に浸るときもある。だって、創独占出来るの俺だけだもん。


だけど、やっぱりこの状態は落ち着かない。ムカツク。創に触るなってんだ。
『創は俺のなんだからなっ!』って言ってやりたい。
─…でも、さ…立場上言えない……だって、教師と生徒だし…言えるわけない。
そんなことを考えていたら目頭が熱くなって、鼻がツーンとした。


─……あぁ、なんか…ヤバイ…泣きたくなって来た……


俺は、何も言わずに保健室を出て行った。
向かった先は、部室。
まだ、休み時間だけど授業なんて直ぐ始まるし…
放課後になるまで、誰も来ない。
因みに部室の鍵は開いている。
…まぁ、知ってて来たんだけど。
朝練の時、部長鍵締めないで慌てて教室向かったから。
…こんなことゆーる先輩が知ったら怒るんだろうな~。





「……静か…」
当たり前のことだが、部活中では無い部室内はシーンと静まり返っている。
授業中だから外から声も聞こえることも無い。


世界でたった一人になった気分だ。
本当は一人なんて嫌い。独りになるのは嫌だ。

なんだか、段々と家に居るみたいになって来て、思わず自分の肩を抱き寄せその場にしゃがみ込んだ。
ツッーと頬に涙が伝う。止めたくても止められない。






『ただいま~』そう言って家のドアを開いても誰の声も帰ってこない。
暗くて静けさだけのある家。俺が物心着く前からそうだった。

誕生日や学校行事、家族ぐるみでのイベント事…全部一人だった。
近所のお姉さんが気を使って来てくれたことはあったけど…
友達の家に呼ばれて、クリスマス会やら友達の誕生会とかは行ったこともある。
母親の作った豪華な料理とか凄く羨ましかった。

親の作ったお弁当とか、憧れた。
どんなに不格好でも不味くても良いから、一度だけでも食べてみたい。
そう思って昔頼み込んだことがあったけど「忙しい」の一言で片付けられた。

本当に忙しいんだろうか…
そう疑問に思ったのは中学上がってから。

殆ど家に帰ってこない親だから、夜どれだけ遊んでも怒られることは無い。
ただ、その日は運が悪かったんだ…

終電間際になって友達と急いで帰っていた時、見てしまった。
母親が父親とは違う男と腕を組んで楽しそうに笑っている姿を。
そして、数日後に今度は父親の方を見掛けた。

両親はお互い外に恋人を作っていたんだ。

それからだ、校則で禁止されている染髪を思いっきり破って金色にした。
ピアスもいくつも開けた。…それがその時の精一杯の反抗だった。


「永遠の愛誓ったんじゃねぇのかよ…」

リビングに飾られた両親が幸せそうに笑っている結婚式の写真を伏せた。

ハッ、と鼻で笑う。
永遠の愛なんてのは存在しないんだ。
…俺はそんなもん絶対求めない、要らない。



だけど、ひとりはイヤだ…
愛してくれなくて良い、ずっと傍に居て欲しい…








「………創…っ…」

今頃3年のセンパイ達に囲まれてるだろう恋人を思うと、涙が更に溢れ出した。
一人勝手に保健室から逃げるように出ていって…
バカみたいに静かな場所に逃げ込んできた、自分の馬鹿さ加減に嘲笑を零す。


ふと、後ろから突然やって来たぬくもりに身体を強張らせる。
良く知る感触と香りに俺は勢い良く振り向き、しがみつくように抱きついた。


「心配したん…「創っ…!」」

創の言葉を遮り泣き叫ぶように名前を呼んで抱きつく。
先程、更に溢れ出した涙が蛇口の外れた水道のように止まることなく流れていく。


「創、創っ…!」

ぎゅっと力一杯に抱きついていると、創は小さな子供をあやすように抱き締めながら背中を撫でる。



ずっと欲しかった自分を抱き締めてくれる腕…
ずっと前から求めていた人のぬくもり…




「…創っ、お願い…離れないで…傍に居てっ…」

哀願するように創を不安一杯な目で見つめて言うと、創は俺の頭を撫でながら普段見せないような表情で柔らかく笑い、唇を俺の唇へ重ねた。


「ずっと傍にいる…だから、お前も離れて行くな…」

その言葉が嬉しくて、また泣き出す。
苦笑を零しながら創は俺の涙を拭い、きつく抱き締めて、何度も何度も「愛している」「傍にいる」と囁いてくれた。




…創…俺、ね…本当に創に出会えて良かった…
だって、もし創に出会えてなかったらずっとひとりだった。

俺は創から離れないから。
離れられないから…

…だから、お願い。ずっと傍に居て、抱き締めてて…
言葉は無くても良いから…ずっと傍に居て…

創のぬくもりを沢山感じてたい……






御題:愛してるより強い気持ち(未知の未来様の「大好き」より)

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