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世界にひとり取り残されている気がして (後編)

世界にひとり取り残されている気がして (後編)


あの日、樹の手で逝かされてからも…何度も同じ行為を繰り返していた。
…と言っても、本当俺だけ、なんだけど…


「…っはぁ…樹、も…シようか?」
「良い。」

既に二度達して、気だるそうに樹に凭れ掛かりながら言うとキッパリと断られた。


「…されたら……」
「されたら…?」
「我慢出来ずに襲いそうだから。」

語尾にハートマークがつくようなほどににっこり笑い言う樹の頭をべしっと叩いた。
…でも…多分、そうなったら俺は断らないと思う。
樹は今までの友達の仲でも特別だから。
恋愛感情の好きとかとは多分違うと思うけど…
それでも、やっぱり友達の中では一番好きだと思うから。


「…それに襲っても、楓は受け入れそうだしさ。やっぱ、こういうのは好きな人と初めての方が良いだろ?」

俺の服を直しながら言う樹にぎゅっと抱きつく。
そんな俺に樹は不思議そうにしていたけど、くすくすと小さな微笑を漏らし抱き返してくれた。


「樹のことは好きだよ…?」
「うん、俺も楓のこと好きだ。」
「…でも…」
「それも分かってる。…恋とかそう言う好きじゃないんだろ?」

尋ねかけているが、どこかそれは言い切った口調。
きっと、俺も樹も同じ好きなんだと思った。
お互い恋とか愛とかの好きじゃなくて、もっと…違う好き。
友達の好き、でも無くて…
多分…はっきりとは分からないけど、家族に近い好きなのかも。



そして、そんな時間もゆったりと過ぎていき中3の山場を迎えた。

高校は行くつもりはなかったけど、このまま一人暮らしすることは現実的に無理だし、高校行かずに樹の家に住み着くことなんて持っての外で…でも、勉強なんて好きじゃなかったから、樹に教えてもらいながらも受験勉強をした。
そのお陰もあって、高校は無事合格できた。

高校に合格できたことが嬉しくて嬉しくて、合格発表後もずっと樹に甘え抱きついていたが…突然の樹の言葉に雰囲気が変わった…




「…今、なんて…?」
「だから、もうウチに来るな。って言ったんだよ。」
「…なん、で…」

あまりにもサラリと言う樹に鼻がツーンとするのを感じる。


「楓が高校に入って…誰かを好きになるの見てられない……。それに、もう…抑えるの無理そうだから…」

俺の頬に手を添えながらじっと見つめ真剣に言う樹にぼろぼろと涙が溢れてくる。


「抑えなくて、良い、よ…樹、好き、だからっ…だから、一人に、しないでよっ…」

小さな子供が親にすがるように泣きつくと、樹は俺の肩に手を添え離された。


「楓…もう、高校生になるんだ。大人になれ。…きっと、楓だけ思って、楓とずっと一緒に居てくれる奴、絶対に居るから。」
「良いっ…樹が、居てよ…樹が居なくな、ったら、…俺、…また一人、に、っ…やだっ、…お願いっ…」

男だから、とかまだ中学生だから、とかそんな理由ではなく、本当にボロボロと涙が零れていく。
蛇口が壊れたように、とはこんなことを言うんだと思う。

こんなにも泣いたのはいつ以来なんだろうか…
こんなにも辛くて寂しい気持ちになったのは何度目なんだろうか…



「じゃあ…なんで、声なんか、掛けたんだよっ…突き放すなら、最初から、声掛けるなっ…!」

うわーん!としゃくりあげながら子供が泣き喚くように泣きまくる。
きっと、このアパートのことだから隣の部屋にも聞こえているだろう。



「それじゃあ…楓、約束。」
「…っひく…約、束…?」

「そう、約束。…もし、楓が高校卒業するまでに一緒に居たい奴…本当に好きな奴が出来なかったら、俺はお前とずっと一緒に居る。」
「…出来た、ら…?」
「出来たら、それはそれで俺も自分の幸せ探すよ。」

初めて会った時からそうだ。
樹はずっと俺のことばかりを考えてくれて、自分のことは後回し。
俺に好きな奴が出来ても出来なくても、樹にはなんの得にもならないのに…


「だから、楓。しっかり前向け。大丈夫、お前なら絶対に見つかるよ…」

俺のことを優しく抱き締めながら宥めるように背中を叩く樹に、涙が引いていき、そのまま樹に抱きつく。
本当に俺は樹以上に好きな奴、大切な人が見つかるんだろうか…
否、見つかっても相手がそう思ってくれなければ意味がなさない…



「楓、さようならだ。」
「高校卒業したら、樹ンとこに駆け込んでやる。」
「はいはい、その時は恋人と来なさい。」



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