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世界にひとり取り残されている気がして (その後)



─そして、高校入学。
俺は思わず、一目惚れし…その相手と恋人となり、今では居なくてはならない存在の人が出来た。
相手も俺のことを好きでいてくれて、とても幸せ。

これで、このまま樹と会わなくなってしまうのは寂しい。
だから、一度だけ樹に会いに行った。




「樹~生きてる~?」

あの頃の様に、勝手にドアを開け部屋の中を覗く。
あの時よりは少し控えめだけど。
でも、部屋には誰も居ない。
引越してしまったのか、と一瞬思ったけど、部屋の家具とか雰囲気はそのままだったから、樹の部屋なのは間違いない。
そう思ったら、後ろから久しぶりに聞く声が聞こえた。


「…かえ、で…?」

驚いたように俺の名前を言われ振り向けば、懐かしい顔。


「来ちゃった。」

えへっ、と笑いながら言うと樹は俺の表情を見て何かを悟り、ふわっ、と柔らかく笑った。

…あぁ、俺、この笑顔好きだった…
この笑顔にいつも救われて、いつも甘えていた。
俺の我侭に冗談で怒ったりしたけど、優しくしてくれた。

本当の兄貴のようだと思っていた…




「そっか…出来たか…」

俺のことなのに、本当に嬉しそうに笑う樹。

こんな風に俺のことを祝ってくれて嬉しそうにしてくれる樹に、俺は何かしてあげられたのだろうか…
ずっと、甘えてすがっていたのに…
まだ、ガキだったから、なんて理由で片付けてしまうには、あまりにも大きなものを貰い過ぎて片付けられない。



「だからっ…樹、も…」

幸せになって、と言おうとしたら涙が溢れてきた。
なんで涙が流れるんだろう…
寂しいのか、辛いのか、良く分からない。
ただ、訳も分からず涙がこぼれて行く。



「きっと…」
「……?」
「きっと、父親が娘を嫁に出すときってこんな感じなのかな?」

「いつ、き…」
「幸せになれよ?俺もうーん、と幸せになるから。」
「うんっ…」



そして、それ以来樹に会うことはなくなった。
寧ろ、会いに行かなかった。
考えてみればそうだ。
俺がいつも会いに行っていたから…
樹が俺のところに来なければ会うこともない。




そして、数年後…
お互い本当に心から一緒に居たいと思う相手の隣を歩きながら、道端ですれ違う。
そして、紹介するんだ。「俺の恋人と俺の兄貴」って。

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